籾殻くん炭づくり

今日は籾殻くん炭づくりをしました。

 

籾殻くん炭とは、お米の籾殻を焼いて炭化させた籾殻の炭です。

田んぼで山になった籾殻から煙突が生えて、そこから煙が出ているのを見たことはありませんか?

あれです。

 

籾殻くん炭には農業において色々なメリットがあります。

結論を先に述べてしまうと「土の状態を良くする」ということなんですが、そのために果たす役割が色々なのです。

わかりやすいところだと保水・排水性を向上させたり、地温を高めたり、土をふっくらした構造にするということでしょうか。

その秘密は、くん炭だけでなく他の炭全般にも言えることですが「多孔質である」ということです。

 

多孔質。

その名の通り穴がいっぱい空いているよ、という構造のことを差します。

炭の表面を電子顕微鏡で覗いて見ると小さい穴がたくさん空いていることがわかりますが、この微小なたくさんの穴は水分や空気を取り込んだり、微生物の住処になったりします。良い畑の土の特徴として、一見正反対のように思える「保水性と排水性の向上」という条件に貢献してくれるのはこの多孔質という特徴によるものです。さらに空気を取り込むことで地温も高めてくれます。

またこの穴は、有用微生物群の住処となり、雑菌の繁殖を抑制して土壌内の菌のバランスを改善してくれます。人間も家畜も胃腸の調子が悪い時には炭を飲んだりしますが、それはこの効果を期待してのことです。

その他にもくん炭はpHを調整したり、その黒い色で土を温めてくれる効果もあります。

 

そんな素晴らしい籾殻くん炭はなんと手作りすることが出来ます!

田んぼで見る光景で多いのは、籾殻の山の真ん中に煙突が立っている姿だと思いますが、うちの場合はドラム缶を使います。

 

まず上下ともに抜いた状態のドラム缶を平らな地面に設置します。

次にくん炭器という道具を設置するのですが、うちでは手作りのものを使っていて、煙突に一斗缶をくっつけてあります。

 

煙突との接合部分には一斗缶に穴を空けて空気の通り道をつくってあります。この一斗缶部分に枯れ草など燃えるものを詰め込んだら、火をつけてドラム缶の中心に設置。そしてドラム缶の中を籾殻で埋めるように流し込みます。

あとは待つだけ。気温にもよりますが6~7時間ぐらいで全体が焼けて炭になります。

 

全体が真っ黒に炭化したら今度は鎮火作業をします。火は出ませんが酸素の供給を断たないと炭化が進行して灰になってまうためです。

ドラム缶で作る場合は、中のくん炭器を抜いて蓋をして密閉状態にし燃焼を止めます。

 

その後2~3日密閉したまま放置すれば完成です。もし完全に鎮火しない状態で蓋をあけてしまうと、また酸素が供給され灰になってしまうので注意が必要です。

 

以上のような行程でわたしは作っています。少し時間がかかりますがとても簡単です。

山積みする方法も原理は一緒ですが、鎮火にかなりの量の水を使いますし、水のかかりが悪い部分があるとそこから再燃焼して灰になってしまう可能性があるので大変なのです。

この辺りがドラム缶方式のメリットです。

 

逆に山積み方式はドラム缶の容積以上の量を一気に焼ける、鎮火に日にちをかけずに一気に作業を終らせることが出来て早いというメリットがあり、どちらにもメリット・デメリットがあります。

わたしの場合は完成までに時間がかかって量が少なくても楽がしたいのでいつもドラム缶で焼いています。

今回はタイミングバッチリだったのできっと良いくん炭になってくれていると思います。

 
f:id:treetreefield:20180221220938j:image

作業を始めたばかりの様子

稲作やめました。

今日の作業は田んぼの草刈り。

今までお借りしていた田んぼをお返しするのできれいに片付けています。

 

わたしの農園では去年までは稲作をしていましたが今年からやめることにしました。

うちは畑作が主なので、そちらに集中しようというのが理由です。

 

今までは「農家なんだからお米をつくらないと!」という気持ちで続けてきましたが、自家消費分程度でしたので手作業で田植えから稲刈り、はざかけまで行ってきました。

しかし全てを機械抜きでやるのはとても大変。労力的なことはもちろん、田んぼの大事な時期には畑の大事な時期も重なってしまうので尚更です。

今の稲作は、昔のように人手を頼りにする代わりに機械を使います。それがないということがこんなに大変だったのか、ということは実際にやってみて身に染みました。

 

では代わりに機械を使えば良いじゃないかと思われるかもしれませんが、これもまた大変なのです。今度は別の理由で。

 

トラクターやコンバインはそもそも高価で、さらに爪や刈り刃などの部品を交換したり、メンテナンスなどの手間もかかります。

ある程度の規模でやるなら元はとれるかもしれませんが、自家用程度だとかける手間と対価がとても釣り合いません。 

しかもトラブルが発生すると全てが機械頼みなので全ての仕事がそこで止まってしまい、主力の畑の仕事が割りを食ってしまうことにもなりかねません。

その辺りのバランスを試行錯誤した結果が「稲作をやめる」という決断でした。

 

 結果的にどうなるかはこれから判断することになると思いますが、恐らく自分にとってこの選択は正解だっただろうと思います。

今の時点で既に、今までやりたくても出来なかったことに時間が割けることがはっきりしてきて気持ち良いのです。

これまでは何でも自分でやらなければと追い込んで来ましたが、最近は人それぞれ役割があるのではないかと思うようになりました。

わたしにとってはそれが畑で、お米はおいしく上手に育てる役割を担っている方から譲ってもらえば良いかと考えています。

 

「稲作をやめる」ことに決めた理由は実はもうひとつあります。それは農家以外の方で稲作に挑戦する人が増えてきていることです。

わたしの身の回りにもたくさんいて、個人で、あるいは仲間同士でお米づくりを楽しんでいます。時にはおすそわけをいただくことも…。

 

有機農家として独立した頃は「俺が日本の有機農業に一石を投じるんだ!」ぐらいの気持ちがありましたので自分がやらないなんて考えられないという感じでしたが、身の回りでこうも田んぼを楽しむ人たちが増えてくると、「まあわたしがやらなくてもいいか」という気持ちになってきたのです。

ちょっと前までは考えられませんでしたが、そう思わされる程に田んぼや畑が多くの人たちにとって身近になってきています。

こういう人たちが増えることが世の中に増えていくことが、世の中を良い方向に持っていく原動力になるのではと感じています。

であれば半ば義務感にかられて続ける必要は無いよなあと思ったら「やめる」という選択肢が浮かんだのです。 

 

話が飛躍し過ぎかもしれませんが、これから日本で広がっていく耕作放棄地問題すら解決する糸口がここにあるんじゃないかと今は思っています。やっぱり「楽しい」が一番です。

 

みなさんも機会があればお米作りに挑戦してみてくださいね。ひとりも良いですが、みんなでやるともっと楽しいですよ。

わたしもまた機会が巡ってきたら、その時は楽しみたいと思います(^_^)

ジャガイモの種芋

春に植えるジャガイモの種が届きました。

ジャガイモは寒さに強いので春の畑の1番手として植え付けています。

とはいえあまり早く植えて大きくなったところに霜が降りたりすると被害が大きいので少しタイミングは考えます。桜が咲くまでに植えるといいという話も聞きますね。

 

野菜には「品種」というものがあります。

ジャガイモだと「男爵」や「メークイン」などが有名ですが、人間で例えるなら人種のようなもので品種によって個性が異なります。

それぞれの品種に向く料理があったり、成長の速さや収穫量、保存できる期間があったりするので、育てる人の好みによってどの品種を選ぶかが変わってきます。

 

わたしが今までに育てたことがある品種は、男爵、北あかり、アンデスレッド、出島の4品種。

今年は初挑戦のメークインと、毎年定番で育てている出島を栽培する予定です。

 

出島はとても愛着のある品種で、個人的にはとてもバランスの良いジャガイモだと思っています。

上品な食感と味わいで煮ても焼いても揚げても美味しく、ポテトチップスは最高です。

味の良いジャガイモは収量が少ないという宿命を背負いがちですが、出島の場合はそこそことれるということや春・秋と年2回栽培できることもポイントとなっています。

 

一般的なデメリットも一応挙げておくと、収量はあくまでそこそこなので、男爵のような多収性の芋には劣る、貯蔵性が低い、種芋が手に入りにくいし値段が高いということでしょうか。

…結構ありましたね。品種選びは最終的には好みだということになるかと思いますf(^_^;

 

ともあれジャガイモはとても栽培しがいのある作物です。ポイントさえ押さえれば難しい作物ではありませんし、収穫時の「掘った!」という満足感も大きいです。収穫してから急いで全部食べなくていいというのもありがたいですね。

何か育ててみたいという家庭菜園初心者の方にもおすすめですよ。



f:id:treetreefield:20180221124825j:image


はじめまして、農家です

有機農家のつれつれと申します。

 

脱サラ就農してそれなりに経ちますが、これまでにうまくいったこと、いかなかったことを通じてたくさんのことを経験させていただいてきました。

 

その中で気付かされたこともたくさんありますし色んな要素がありますが、やっぱり楽しいとかおいしいとか幸せだとか、前向きな気持ちにさせてくれる部分が「菜園」や「畑仕事」の魅力なのかなと思います。

そんな「菜園」の持つ魅力をたくさんの人と共有できたらと思い、今までしてこなかった情報発信をしてみようとブログを始めました。

少しでもみなさんのお役に立てれば嬉しいです。